皆さんこんにちは。

これまでVol.2〜Vol.4にかけて撮影する際に意識したい点や光の読み方など
ソフト面の基本テクニックについて説明してきました。

今回は商品を撮影する際に必要なハード面である機材について、
考えていきます。

カメラが必要なのは当然ですが、他にも揃えておきたい機材があります。

それらを使うことで、イメージするカットにより近づくことができたり、
撮影の手間が省けたりします。
無くても撮影はできる、という機材もあります。

でも、それらがあることで、写真のクオリティを上げることができます。
私の経験や他のカメラマンを見て、
これは最低限必要、あるといいよというアイテムです。

では、今回もスタートです。

これだけは揃えたい機材

撮影機材というと高そうだな、というイメージもあるかもしれません。

ご存知の通り、プロ仕様のハイスペックな機材は高価です。
それこそカメラ本体だけで100万円くらいするようなものもありますが、
実際そこまで高価な機材は必要ありません。

正直なところ、機材の値段と写真のクオリティは比例しない
と私は考えています。

高価なカメラやレンズを使えば良い写真が取れるかといえば、
そんなことは無いのです。

もちろんハイスペックのモデルを否定するつもりは全くありません。
そうした機材が必要な撮影もあります。

でも、機材が安いから良い写真が撮れない、ということは無いのです。

では、具体的な機材に言及していこうと思います。

1.カメラ

当然ですがまずカメラです。

種類としては、多分お持ちの方が一番多いコンデジ(コンパクトデジタルカメラ)、
最近人気のミラーレス(ミラーレス一眼レフカメラ)、
そして一眼レフカメラがあります。
(※大判と呼ばれる大型のカメラなどもありますがここでは割愛します。)

どんなカメラがいいの?

今は誰でも簡単に写真が撮れる時代です。
シャッターを押せば写真は撮れますし、スマホもどんどん高機能になって、
それこそ一眼レフで撮ったような写真も撮れるようになってきました。

では、商品撮影やウェブ用の撮影にはどんなカメラが良いのでしょうか。

まずどんな機能が必要かを考えてみます。
以下のような点を押さえておく必要があります。

・レンズが交換できる

引きの画角で広い範囲を撮影したい、寄りで商品のディテールを描写したい。
被写体によって撮りたい構図は様々です。

一眼レフやミラーレス一眼は撮りたいカットに合わせて
色々なレンズが選べます。

建物の外観や内観を撮るなら12〜24mmくらいの超広角レンズが良いとか、
指輪のような小さい商品ならマクロレンズだとか、
シーンに合ったレンズを使うことでより魅力的な写真を撮ることができます。

・マニュアル設定ができる

撮影モードでマニュアル設定ができることも大事です。

どんなカメラにも付いているA(オートモード)にしておけば、
それこそシャッターを押すだけで写真は撮れます。

でも、オートで撮った写真が欲しい写真になるとは限らないのです。
もう少し明るくしたい、パキッとした雰囲気にしたいなど、
「もっとこうしたい」というところの「もっと」を表現するには
マニュアルモードが必要になります。

・ホットシュー、シンクロターミナルが付いている

ホットシューとは、外付けのストロボやトランスミッターを装着する部品です。
カメラの上部真ん中あたりに付いている金具がそれです。

トランスミッターとはカメラか離れた位置に設置したストロボなどを
コントロールするための送信機です。
シンクロターミナルはそうした機器をケーブルでつなぐためのソケットです。

撮影で使うストロボはカメラから離して設置するので、
こうした機能がないとそうした撮影ができません。

・RAWデータで保存できる

RAWとは「生」の意味です。
刺身を英語でRaw fishと言いますが、その生です。

デジカメではレンズを通った光を撮像素子で受け止め、
それをデジタル処理してJPEG形式などに変換して保存します。

RAWはその処理をしない「生」データというわけです。

RAWの何が良いのかというと、
JPEGなど処理されたデータよりも
詳細で高品質な画質の調整が可能になります。

上記4つの機能を持ち合わせたカメラというと、やはり一眼レフです。

コンデジでも高級機になると
こうした機能を持ち合わせているモデルもありますが、
その価格なら一眼レフの入門機クラスなら買えてしまうと思います。

入門機でも悪くはないと思いますが、
おすすめなのは中級機クラスのモデルです。
価格帯で言うと、レンズキットと込みで10〜15万くらいでしょうか。

また上位機でも型落ちのモデルはかなり安くなっているので、おすすめです。
極端にスペックが違わなければ最新型でなくても十分使えます。

一眼レフのもう一つの良い点は光学ファインダーが使えることです。
一眼レフカメラはレンズに入ってきた光をミラーに反射させ、
ファインダーから像を見ることができます。

ミラーレス機やコンデジも液晶モニターに像を映し出すことができますが、
デジタル処理が入るため、実世界と液晶モニターに映る像に
若干のタイムラグや不自然さが発生します。
それが気にならない方なら問題ないですが、
私個人としてはやはり光学ファインダーから見る世界の方が
しっくりくるし、好きです。

とはいえ、最近は各社ともミラーレス一眼の開発でしのぎを削っていて、
ユーザーの間でも人気が高まっています。

これからはミラーレス一眼が主流になっていくかもしれません。

また、スマホのカメラも毎年進化を続けています。

一眼レフをおすすめすることに変わりありませんが、
スマホでも代用可能です。

おすすめするとしたら、複数のカメラが付いた最近のモデルです。
特に望遠機能が付いたiPhone 11 ProやグーグルPixel4などが良いです。

広角寄りの画角で撮影すると、
レンズの特性で画像の周辺部が歪んでしまいますが
望遠で撮るとその歪みが減らせます。

2.レンズ

ミラーレスや一眼レフカメラはレンズが交換できるので、
撮影シーンに合ったレンズを使うことができます。

商品やフードメニュー、モデルなど、
被写体に合った交換レンズを1〜2本持っていると撮影の幅が広がります。

一眼レフカメラを購入する際は、普通レンズも一緒に買うと思います。
既にレンズは持っていて、ボディだけ買い換えるなら別ですが・・・

ボディとセットで売っているレンズをレンズキットと言いますが、
初めはそれで良いと思います。

焦点距離は35〜70mmくらいの標準ズームと呼ばれるものが扱いやすいです。

3.パソコン

パソコンはほぼ皆さんお持ちだと思いますが、これも必須のアイテムです。

先に述べたRAWでもJPEGでも撮影してそのままの画像を
商品ページなどに使うことはありません。
レタッチや切り抜きなど何かしらの加工を施して使うことになります。
その加工はパソコンで行います。

特にRAWデータはそのままでは画像として見ることはできません。
「現像ソフト」と呼ばれる画像処理ソフトを使ってレタッチなどを行い、
JPEGなどの画像データに変換する必要があります。

例えば、Adobeの「Lightroom」は
現像ソフトとして最も利用されているものの一つです。

あると便利な機材

4.三脚

手持ちでも撮影はできますが、三脚があると手ブレを防いだり、
よりキレイな写真を撮ることができます。

三脚なんて無くても撮れるし別に困らないという方もいるかと思います。
確かに手持ちなら好きな画角にすぐ持っていけますし、楽な気もします。
でも三脚を使うと撮影をより効率良く進めることができます。

例えば、Tシャツの撮影をするとします。
デザインは同じでもカラーバリエーションが3色あるとします。
複数のSKUがあると、同じ画角で全カラーを撮影しなければなりません。
こうした場合、手持ちだと各カラーの撮影画角が微妙にずれます。
三脚を使ってカメラを固定し、商品を置く位置も決めておけば、
次々と商品を入れ替えて効率よく撮影を進めることができます。

また、手持ちだと撮影時には気づかなくても、
後でパソコンの大画面で見てみたら手ブレしていた、
狙ったところにピントが合っていなかった、といったことがよくあります。

三脚を使うとそうしたミスも減らすことができますよ。

あとストロボ用の三脚(スタンド)もあると便利です。

5.ストロボ

この講座では基本的には自然光での撮影をベースにしていますが、
ストロボがあると自然光ではできない光の使い方ができるので、
一つ持っていると便利です。

写真用語でいうスピードライトがおすすめです。

純正品は最低でも3万円くらいしますが、
今はサードパーティの製品も多く出ています。
そちらなら1万円くらいで性能も十分なものが見つかります。

6.レフ板

折りたためるものや、ボードタイプのものなどいろいろな製品があります。
価格も1,000円くらいから5,000円くらいで、そう高価なものではありません。

厚紙に白い紙やアルミホイルを貼って自作する人もいますよ。

7.ソフトボックス

ストロボの光を拡散させるために付けるフード(被い)のようなものです。

Vol.4で説明した透過光を作り出し、
柔らかい印象の写真にすることができます。

あわせて読みたいノンデザイナーのための売れる写真講座【Vol.4】

ノンデザイナーのための売れる写真講座【Vol.4】

皆さんこんにちは。 これまで「構図」や「アングル・ポジション」といった 写真を撮る際に被写体をどう切り取るかの知識やテクニック について説明してきました。 これだけでも意識して撮ってみると、 写真も大分変わってきたのでは ...

こちらも5,000円程度で購入できます。

大きさに比例して光が拡散されるので、
商品が小さければ小型のもので大丈夫ですが、
アパレルモデルなどの撮影には60x60cmくらいのサイズがあると良いです。

まとめ

いかがでしたか。

最低限これだけはという機材について、
おおよその価格帯も含めて紹介してみました。

もちろん、これより良い機材をお使いの方も、
そうでないという方もいるでしょう。
ここで述べたのはあくまで目安です。
どんな視点から見るかで、それに見合った機材は変わってきますので。

そして大事なのは、お持ちの機材を使い込むということです。

こんな感じで撮りたいというイメージがあったら、
それを撮るために使える機能がないか調べてください。
せっかく付いている機能も使わなければ宝の持ち腐れになってしまいます。

ぜひ使い倒してカメラやレンズの持つ力を存分に引き出してあげてください。

そうしているうちに、必要な機能や機材が見えてきます。
ステップアップする際に次はどのモデルを買ったらいいのかも
明確になってきますよ。

今回も最後までお付き合いくださりありがとうございました。

次回もお楽しみに!