近年、ウェブデザインにおいてカラーユニバーサルデザインの重要性がますます高まっています。カラーユニバーサルデザインとは、色覚多様性を考慮してすべての人々が情報にアクセスし見やすくするための設計アプローチです。

ここでは、その中でもウェブデザインに関係するカラーユニバーサルデザインについて色覚多様性の認識と見やすい配色の選択やコントラストの強調など、色覚多様性を考慮したデザイン、ツールを活用したアプローチについて紹介します。

 

色覚多様性とは

カラーユニバーサルデザインを推進するカラーユニバーサルデザイン機構によると、色覚にはC型・P型・D型・T型・A型の5種類があるそうです。

一般色覚者のC型は日本の男性の95%、女性は99%以上なのに対して、赤色や緑色を受け取りにくいP型・D型の人を色覚による色情報の弱者という意味で“色弱者”と呼んでおり、男性の5%、女性の0.2%、日本全体では320万人以上いるとされます。欧米では地域によっては男性の約10%が該当すると言われています。

 

色覚多様性への認識

より多くの人に快適にウェブサイトを使ってもらうために、デザイナーはアクセシビリティに配慮し、すべての人が同じように情報やサービスにアクセスできるようにするため、ウェブサイトの配色やデザインを考慮する必要があります。

見やすい配色

見やすい配色は、すべてのユーザーにとって重要ですが、特に色覚多様性のある人々にとっては不可欠です。

以下は、カラーユニバーサルデザインのためのいくつかのポイントです。

●青やオレンジを使う

色覚多様性の人々にとって、赤や緑色は黒と区別しづらいことが多いです。青色やオレンジが見やすいとされています。

●コントラストの強調

文字と背景のコントラストを強調することで、読みやすくさせることができます。明るい文字を暗い背景に配置するなど、色の対比を高めることが重要です。

●色相の違い

色相の類似性に気をつけることも大切です。明度の似た暖色系同士・寒色系同士の組み合わせは、色覚多様性の人々にとって非常に見分けにくい可能性があります。

●カラーバリエーションの提供

複数の配色オプションを選択できるようすることも重要です。例えば、ライトモードとダークモードの切り替え機能を提供することで、ユーザーが好みや環境に応じて見やすい画面を選択できるようになります。

●色だけに頼らない工夫をする

文字を強調する際に色で目立たせるのではなく、大きさや太さ、下線などで変化をつけるとわかりやすいです。またグラフなどでは色以外にも線の種類や塗り方のパターンなどで変化をつけます。

シミュレーションツール

また、色覚多様性の場合どの色がどう見えてるのかを確認できるシミュレーションツールもあります。ツールを使用することで、色覚多様性の人々にも適した配色を簡単に生成でき、開発プロセスを迅速化できます。

Adobe Colorアクセシビリティツール

Adobe Colorは、カラーパレットを生成するのに役立ちます。色覚多様性に対応したカラーテーマでパレットを作成し、配色を最適化することができます。

Adobe Photoshop/Illustrator 色の校正

AdobeはCS4からPhotoshopとIllustratorにP型とD型色覚のシミュレーション機能を搭載しました。作業中にワンクリックで確認できます。

Chromeプラグイン:Spectrum

色覚バリアフリーのチェックをボタン一つでできるSpectrumを使えば、表示しているページに対して1クリックでシミュレートできます。

その他色覚のシミュレーションツールや、ウェブサイトの配色を自動的に調整するプラグインなど、さまざまなブラウザの拡張機能があります。これらを活用することで、色覚多様性を考慮したデザインを実装しやすくなります。

カラーユニバーサルデザインは、配色のバリアフリーとして、より多くのユーザーがウェブコンテンツにアクセスできるようにするための重要な要素です。見やすい配色にすることで、ウェブデザインの品質とアクセシビリティを向上させて、より多くのユーザーのエンゲージメントや満足度も向上させることができます。