皆さんこんにちは。

これまで「構図」や「アングル・ポジション」といった
写真を撮る際に被写体をどう切り取るかの知識やテクニック
について説明してきました。

これだけでも意識して撮ってみると、
写真も大分変わってきたのではないでしょうか。

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今回は「光」について考えたいと思います。

よく「写真は光が6割」と言われるくらい撮影には光が重要です。
そもそも写真とは光を捉えるもの。
光がなかったら写真は映らないのですから、それは重要ですよね。

では今回もスタートです。

Vol.4 「光を制するものは写真を制する?– 写真は光が6割 -」

皆さんは商品やメニューなどをどこで撮影していますか。

自前のスタジオや撮影用ブースなどがあるなら、
それは恵まれた環境だと思います。

「そんなの無いよー」という方も結構いらっしゃるのでは?
オフィスの一角や会議室、個店ならご自宅、
店舗なら開店前や閉店後にホールで撮っているとか。

そんな十分な環境ではなくても、
日々頑張って撮影しているあなたを心から応援したい気持ちです。

でも大丈夫!

実際、私も特に撮影用に用意された環境でなくても
撮影する機会はたくさんあります。
それもある意味楽しく撮影させて頂いています。

だって、そんな環境で素敵な写真が撮れたらまず自分が嬉しいし、
クライアントさんの案件なら、
先方に喜んでもらえたらちょっとドヤ顔になってしまうかもしれません。

どんな環境でもその中でできるベストなカットを撮る。

それには日々の努力も必要ですが、
まず意識するポイントとして「光」があります。

カメラマンが現場でまずすることの一つは「光を読む」ことです。
光を読んで、コントロールできるようになれば、
どんな状況でも良い写真が撮れるようになります。

「光を読む」とは?

普段の生活の中で気にすることはないかも知れませんが、
写真を撮る場合は光についていろいろと意識する必要があります。

それらをまとめて「光を読む」といった言い方をします。

では、どんなことを意識すればいいの?

ということで、まず光の種類と質について見ていきましょう。

光の種類に関して

1.自然光

最も普遍的な光は太陽光です。
これが無ければ写真はおろか生命すら存在できないわけで、
全ての根源と言っても過言ではない光です。ちと大げさか。

太陽光のことを「自然光」と言います。
撮影をこれから始める方は、
まずは外から差し込む太陽光を用いて撮るのがやりやすいと思います。

ちなみに商品撮影で使うことはあまりないと思いますが、
月光も自然光の一つです。

自然光の例です。色合いや雰囲気が自然な印象を与えます。
窓から入る光がお皿に写り込んでいるのが分かりますね。

色味の調整で時間を表現することもできます。
ザクっとした言い方になりますが、
青味を強くすると朝っぽく、赤味を強くすると夕方っぽくなります。

2.人工光

上記の自然光に対し、
蛍光灯やストロボなど自然光以外の光を「人工光」と呼びます。

人工光での撮影は、ストロボなど機材の操作や設定、
光の作り方などについて知識と経験が必要です。

まずは自然光で光をコントロールすることを覚え、
慣れてきたらライティング(ストロボなどの照明機材を使うこと)
に挑戦していくのが良いと思います。

ストロボを使った例です。
撮影時は外光を遮断し、真っ暗な状態で撮っています。

人工光なのが分かりやすいよう影を2重にしてみました。
(※実際に商品を撮影する時は2重にするのはNGですよ。念のため。)

慣れると自分のイメージした光を作り出すことができます。

光の質に関して

1.直射光

被写体にダイレクトに当たる光を直射光と言います。

くっきりした影ができるので、
コントラストが強い(明暗の差が大きい)写真になります。

2.透過光

カーテンやトレーシングペーパーなど、
何かを通して当たる光のことを言います。

透過光は拡散されて被写体に当たるため、柔らかな印象の写真になります。

3.反射光

何かに当たって跳ね返ってくる光のことです。
バウンス光とも言います。

Bounceは「跳ねる、弾む」という意味の英語ですね。
これも透過光のように拡散されるので、柔らかい光にすることができます。
反射面が大きいほど柔らかくなります。

レフ板は反射光を利用した撮影技術の一つです。
また、スタジオやブースでなくても、白い壁や天井があれば、
そこに向けてストロボを光らせ、その反射光が被写体に当たるようにして
撮影するバウンスのテクニックもあります。

光の向きに関して

次は光の向きについて考えてみます。
直射光にしても、透過光や反射光にしても光には向きがあります。

これは被写体に対してどの方向から来る光なのかで、
大きく3つに分けられます。

光の当たり方によって、写真の印象は全く違ったものになります。

1.順光

被写体の正面から当たる光のことを順光と言います。
撮影者からみると、自分から被写体の方向に向かって照らされる光になります。
太陽光を使う場合は太陽が背中側になる向きです。

順光は影が出にくいため、平面的で立体感に欠ける写真になりやすいです。
アパレルなど商品の細部まではっきりと見せたい場合は
順光で撮ることがあります。

2.サイド光

被写体に対して横から当たる光のことを言います。

陰影がはっきりし、立体感が出ます。
最近はアパレルなど順光で撮ることが多かったジャンルでも
サイド光を使うケースがあります。

3.逆光

被写体の後ろから当たる光を逆光と言います。
撮影者からみると、自分の正面に光源がくるかたちです。
ポートレート撮影でよく使う光です。

逆光で撮影すると、被写体の輪郭線が浮き上がり、
後光が差したような幻想的な写真にすることができます。

特に「玉ボケ」と言って、木漏れ日や街の灯りなど
キラキラした背景の光を玉のように丸く写すテクニックがあるのですが、
これは逆光でしか作ることができません。

注意点としては、被写体の後ろから光が当たるため、
被写体自体は周囲より暗くなってしまいます。

これに対応するにはレフ板やストロボで前面にも光が当たるようにする、
撮った後画像のレタッチで補正するなどの処理が必要になります。

4.半逆光

これは逆光の派生型で、サイド光と逆光の間くらいの角度から当たる光です。
フードの撮影で使うことが多い光の角度となります。

柔らかい陰影が作れ、立体感も出ます。
料理を美味しく見せるにはシズル感を出すのがコツですが、
それにはこの半逆光をよく使います。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
こうした光の種類や質、向きなどを意識してどう撮るかを考えるのが
「光を読む」ということです。

光を読み、その上で光の当たり方をコントロールして影を消すことを
「光を回す」と言います。

光を読むのは基本的な技術で、撮影イメージに近づけるために光を回したり、
逆に影を作ったりする作業、具体的には被写体の位置や角度を調整したり、
ストロボなどの照明やソフトボックス、レフ板を使って透過光や反射光を操る、
というところがカメラマンの腕にかかってくる部分です。

ライティングの技術についてはまた改めて
別の機会に説明しようと思っています。

まずは自然光を使っていろいろ試してみてください。
また一段と写真のクオリティが上がりますよ。

今回も最後までお付き合いくださりありがとうございました。

次回もお楽しみに!