ECの定義

ECとは、「Electronic Commerce」という言葉に由来する造語で、
日本語に翻訳すると「電子商取引」となります。

PCやスマホ、タブレットなどのデバイスから
インターネット上でモノやサービスなどを
売買したり、取引したりすること全般を指します。

皆さんがよく利用するネットショップやネット通販等が
このECに該当します。

ECは、企業が一般消費者向けに商品を販売するだけでなく、
企業同士や消費者同士の取引にも使われています。

日本でECが本格的に始まったのは1995年頃。
楽天市場は1997年にオープンし、
アマゾンの日本語サイトは2000年にスタートしました。

ECが普及し始めてから20年以上が経過し、今では物品の売買だけでなく、
旅行や飲食店の予約、チケット購入、保険の申し込みなど、
様々なサービスがオンラインで提供されています。

どういう人が利用するのか

BtoB(企業間電子商取引)

BtoBでは既存の取引先と、毎月多くの取引処理が発生します。

BtoBでのECサイトは、
クローズドBtoB型(得意先のみ使えるシステム)と、
スモールBtoB型(通常のBtoCのECサイトのように世界中がマーケット)に
分かれます。

クローズド型は、既存の取引先と頻繁に取引が発生する場合に利用されます。
BtoBでは取引先ごとに商談を行い、売買する商品の値決めを行います。
その際に取引量や取引条件の違いにより同じ商品であっても各取引先ごとに
異なる価格で販売することが往々にしてあります。
そのため、BtoBのECサイトでは、この商習慣を前提としているため
1商品に対して複数の価格で管理することが可能です。

スモール型は、BtoCのECサイトに近いため、構築も比較的容易になります。
ECサイトを設けることで、今まで問い合わせが無かった地方や
新規からの購入も見込むことができます。

BtoBにおけるECサイトの活用は徐々に伸びており、
経済産業省が2020年7月に発表した2019年度の市場調査では、
BtoBのEC化率は31.7%であり、
市場規模は352兆円という大きなマーケットになっております。

BtoC(消費者向け電子商取引)

利用者の多くは50代といわれており、
通勤途中で利用している方が多い傾向にあります。

なお、地方はスーパーまで距離があるためか
食糧関係のECが活発化してきています。

ネットスーパーは、「イオンネットスーパー」、「楽天西友ネットスーパー」、
「イトーヨーカドーのネットスーパー」を利用する人が多いようで、
メイン利用の総合ECでは「Amazon」、「楽天市場」、
「Yahoo!ショッピング」が利用されています。

市場動向
日本はBtoB-EC市場の方がBtoC-ECよりも圧倒的に大きく、
2018年は344兆2,300億円でした。
EC化率は前年から0.8ポイント増え、30.2%となっています。

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EC化率

目次EC化率とはEC化率の計算方法EC化率からわかること EC化率とは EC化率とは、経済産業省の定義によれば、 すべての商取引金額(商取引市場規模)に対するEC市場規模の割合のことです。 すなわち、店頭販売、電話やFA ...

また、CtoC市場も大変盛んになっており、
フリマアプリの2018年の市場規模は前年比32.2%増の6,392億円でした。

このように、BtoC、BtoB、CtoCのすべてにおいて、
EC市場は年々拡大しています。

EC市場に関するこれらの数字を踏まえると、ECを含めたビジネスプランは、
今や多くの企業にとって不可欠と言えるのではないでしょうか。

新型コロナウイルスの影響下でECは見直され、EC化率が上昇しています。
これからは地域密着型のECも活発化するであろうと予想されます。

EC市場の流通額

2019年のEC市場規模(日本国内)

・BtoC(消費者向け電子商と取引)
19.4兆円(前年18.0兆円、前年比7.65%増)

・BtoB(企業間電子商取引)
353兆円(前年344.2兆円、前年比2.5%増)

BtoCの市場規模は、毎年5~6%を超える成長率で市場規模が拡大しており、
これからも右肩上がりで上昇すると予想されています。

スマートフォン経由の物販EC市場規模も拡大し、
2019年は4兆2,618億円で同12.7%。

物販ECに占める割合は42.4%で、2018年対比で3.1%増加しています。

EC市場規模が大きいのは、

  • 「衣類・服装雑貨等」(1兆9,100億円)
  • 「食品、飲料、酒類」(1兆8,233億円)
  • 「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」(1兆8,239億円)

EC化率は、

  • 「事務用品、文房具」(41.75%)、
  • 「書籍、映像・音楽ソフト」(34.18%)、
  • 「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」(32.75%)

各モールの流通額

2019年もほぼ全てのプラットフォームは右肩上がりの成長を続けており、
特にモールは成長率が安定して高い水準を維持しています。

一方で、ヤフオクやminneといったCtoCマーケットプレイスサービスは、
マイナス成長となるなど、メルカリが牽引しているものの、
成長率は鈍化しつつあるようです。

  • 楽天市場:3兆8,595億円(トラベル等含む)
  • Amazon:3兆4,238億円(※推測)
  • Yahoo!ショッピング:8,519億円
  • ヤフオク!:8,212億円
  • メルカリ:5,434億円
  • ZOZOTOWN:3,423億円
  • EC-CUBE:2,100億円(※推測)
  • MakeShop:1,734億円
  • ラクマ:1,500億円(※推測)
  • カラーミーショップ:1,459億円
  • Wowma!:1,287億円(推測)
  • Qoo10:1,209億円(推測)
  • futureshop:1,141億円
  • ショップサーブ:850億円(推測)
  • BASE:429.6億円
  • minne:119.8億円

今後の傾向

BtoB-EC

2019年4月から施行され、厚生労働省が中心となって推進してきた
働き方改革関連法、いわゆる「働き方改革」ですが、
一部で盛り上がりを見せるものの、
多くの企業で実態としては大きな変化がないままで推移してきました。

しかし、今回のコロナ禍によって、メーカー・商社・卸売業など、
企業間取引を行なっている企業も
「テレワーク」、「在宅勤務」が推奨され、
仕事のやり方、そして従業員の働き方が一気に変化しました。

ですが、このような状況下においても、
アナログな商習慣が残り、どうしても出社しなければいけない、
といった課題を抱えている企業も多くあります。

今後のニューノーマルの時代に向け、そのような課題を解決していくため、
企業間取引のあり方は今後変革していこうとしています。

これまでのアナログ文化から脱却し、企業として生産性をどう上げていくのか、
より働きやすい環境を整備し、利益体質の強化に繋げていくこと
が非常に重要とと考えます。

アナログ業務の変革は、これからの企業に求められる重要な要素の一つであり、
その具体的な改善手法の1つとしてBtoB-ECは
大きな可能性を秘めているのではないでしょうか。

BtoC-EC

上述したように今後もECの市場規模は拡大していくと思われます。
2019年に野村総合研究所が発表したレポート
「ITナビゲーター2020年版」によると、
2018年時点で約18兆円 だったBtoC-EC市場は、
2025年には27.8兆円に成長すると予測されています。

また、ECやリアル店舗を含むオムニチャネルコマース市場についても、
2018年の54.4兆円 から、2025年には80.6兆円に伸びる見込みです。

このことから、EC市場の拡大は、
実店舗の需要がECへと単純に移行するというわけではなく、
実店舗とEC市場は両立しながら、
消費が多様化していくということを示唆しています。

しかし、懸念点も少なからずあります。
EC需要が高まる一方で、個人向けの小口発送の増加や、
トラックドライバーをはじめとした、物流業界における人手不足の深刻化です。

近年では、配送料値上げに関するニュースが増えています。
実際に2017年以降、大手宅配企業が運賃の値上げを相次いで発表しています。

ECの盛り上りと共に物流業界の需要が高まる中で、
このような課題も顕在化してきています。

課題に対して、業界全体で取り組むだけでなく、
シェアリングサービスやマッチングサービス、
物流管理システムやアウトソーシングの利用など、
自社の事業だけでなく、物流業界が抱える課題へ
強い意識を向けることも必要になってくるでしょう。