インターネットが発達した現代では、以前と比べて消費者の購買行動が変化してきており、
それに呼応するように企業と顧客のコミュニケーション方法にも変化が起きています。
そんな中で注目されているのが【AISAS(アイサス)】という購買行動モデルです。
これは以前にお伝えしたAIDMAを発展させた考え方といえます。
ネット主流の今だからこそ必要なマーケティングの知識として、
今回はAISASについて解説してまいります。
AISAS(アイサス)とは
AISAS(アイサス)とは、消費者の購買行動プロセスを説明する代表的モデルの1つ。
2005年6月に電通が商標登録した用語。
従来主流であったAIDMA(アイドマ)に代わる考え方で、”欲求”、”記憶”に代わり、
Eコマースにおいて特徴的なプロセスである”検索”、”共有”が含まれています。
A…注意(Attention)
I…興味・関心(Interest)
S…検索(Search)
A…行動・購買(Action)
S…情報共有(Share)
AISASの特徴は、消費者が能動的な検索(Search)と共有(Share)を行うようになったことです。
それまでのAIDMAは、情報を発信する企業側とそれを受ける消費者という
“ワンウェイ”モデルでした。
しかし、AISASは検索(Search)と共有(Share)という消費者の能動的な行動を加えて、
企業と消費者が互いに関与し合う”インタラクティブ”な関係へと変化しています。
また、消費者の行動がActionで終わらずに、その経験を共有し合うのが大きな特徴です。
AISASへと変化したのはなぜか
2000年代初頭に家庭におけるインターネットの普及率が急上昇したことを背景に、
消費者は自らGoogleなどの検索サービスを通じて能動的に情報を調べる『検索』を行うようになりました。
この検索に加えてインターネットがもたらしたものが、
口コミなどに代表される『共有』という行動です。
一連の『検索』と『共有』のプロセスが加わったことで、
売り手は従来の販促手法では顧客を囲い込めず、
自社のWebサイトを持つことが必須となりました。
SNSも含めたコミュニケーションチャネルから、
広告だけでは伝えきれない情報を伝えることが求められるようになったのです。
AISASのそれぞれの要素については以下で
具体的な事例を用いてご説明します。
Attention:認知
消費者が商品やサービスを『認知』するのは、
店頭やマスメディアのほかにインターネット広告やショッピングサイト、
ブログ、口コミサイト、SNSなどと多様化しています。
消費者の購買行動のはじまりは認知をきっかけに起こります。
インターネットの普及によって情報が過剰になったことで、
消費者に商品を知ってもらうことがこれまで以上に困難になりました。
そのため消費者に商品を認知してもらうために
は以下のポイントを踏まえると効果的です。
- 顧客セグメントの設定や顧客ニーズの把握を行い、顧客は誰なのか明確にする
- ターゲットとなる顧客の認知プロセスについて調査し、適切なメディアを選択する
商品やサービスとのタッチポイント(接点)によって消費者が持つ印象は、
その後の興味・関心に繋がるか否かの分かれ道になるため、
顧客についてよく知ることが非常に重要となります。
Interest:興味
認知した商品やサービスについて次の消費者行動は、
商品に対する『興味・関心』のフェーズに移ります。
ターゲット顧客が商品に興味を持つためには、顧客の心を動かす必要があります。
そのためには以下の2つがポイントとして挙げられます。
- 顧客のニーズを満たす、あるいは顧客の価値観に合う商品であることを伝える
- 情報を提供する手法として適切なものを選択する(広告、記事、動画など)
顧客の興味や関心を喚起する内容の情報と伝える手段が適切であれば、
商品やサービスだけでなく企業に対する信頼も高まり、
次の購買行動に繋げる架け橋になります。
顧客がどうしたら興味や関心を持つかを想定するために、
ペルソナを設定して人物像を明確にすることも効果的です。
Search:検索
興味・関心を持った商品やサービスに対する次の消費者行動は、
消費者自身で『検索』を行って購入を検討するフェーズになります。
商品の費用対効果など様々な角度から比較検討を行うほか、
ショッピングサイトのレビューや口コミサイト、SNSなどで幅広く検索を行います。
多角的に収集した情報を基に消費者は購入を検討し、意思決定を行います。
このフェーズで企業が購入意思決定に関与するためのポイントは、
顧客の納得性を高める情報を提供することです。
Action:行動
検索して検討した結果、実際に商品やサービスを購入するのがこのフェーズです。
企業の行うマーケティング施策は、顧客を購買行動へと導くことが最も重要になります。
購買行動で確実に商品を購入してもらうためのポイントは、
分かりやすく安心して購入できるように工夫を施すこと。
例えば、ショッピングサイトの場合には、
デザインや配色などユーザビリティを考慮して直感的に分かりやすくすると効果的です。
実店舗の場合には、商品を手に取ってもらうためにポップで目立たせるとよいでしょう。
Share:共有
商品やサービスを購入した顧客が購買行動の経験や使用感などについて
インターネット上で共有するのがこのフェーズです。
購入した商品について納得感が高い場合には好意的に、
低い場合には中傷的な表現で共有します。
購入者のレビューやSNSで共有される口コミは
実際に購入し使用した経験に基づくため、それを見た第三者に説得力を与えます。
また、SNSで繋がりのある友人や知人は顧客と近い関係にあるため
その口コミ情報は信頼性が高く、購買行動に大きく影響します。
企業にとって有益な情報を共有してもらうためには、
顧客の期待に応える努力や信頼関係を深めることがポイントになります。
例えば、ネガティブな内容には社内で検討して改善策を施すことが必要な場合もあるでしょう。
ポジティブな内容にはさらに強化するための対策を施すことが効果的です。