ABC(活動基準原価計算)とは
ABCとは、”Activity-Based Costing”の略で、
日本語では活動基準原価計算と訳されています。
ABCは、商品の製造や販売にかかる間接費を
それぞれの商品やサービスのコストとして正確に配賦することによって、
生産や販売活動などのコストをより明確に把握するために考案された、
原価計算手法の1つです。
間接費とは、どの商品の製造にかかったのか定かではない費用のことで、
複数の商品を作る設備の維持費などがこれに該当します。
ABCが登場した背景
従来の原価計算方法では、原材料費や人件費などの製造に関わる直接費の計算、管理に重点が置かれ、
間接費は労務費や作業時間などによって各製品に配賦されて計算されていました。
しかし、これでは実態とかけ離れた製造コストが算出される可能性があり、
従来型の原価計算では正確なコストの算出に対応しきれなくなってきました。
そこで、増え続ける間接費の配賦に関して
その商品にかかる活動を基準にして管理し、
間接費の配賦計算を実態に合わせて正しく行う手法として、
このABCが考案、導入されました。
ABCの算出方法
実際のABCの算出方法を以下の商品AとBを例に解説していきます。
A、Bの間接費合計
500,000円
商品Aの直接作業時間
200時間
商品Bの直接作業時間
300時間
■従来の原価計算方法
商品Aの間接費
500,000円×200/500=200,000円
商品Bの間接費
500,000円×300/500=300,000円
■ABC
ABCでは従来の原価計算とは異なり、作業時間を工程に分けて計算します。
【商品A】
工程①:150時間
工程②:50時間
【商品B】
工程①:100時間
工程②:200時間
工程①の作業に合計200,000円、工程②の作業に合計300,000円を要した場合、
各工程における商品Aの間接費は以下となります。
工程①
200,000円×150/250=120,000円
工程②
300,000円×50/250=60,000円
商品Aの間接費
180,000円
同様の方法にて、商品Bの間接費を算出すると、
工程①
200,000円×100/250=80,000円
工程②
300,000円×200/250=240,000円
商品Bの間接費
320,000円
となります。
ABCを利用するメリット、デメリット
メリット
- 間接業務の実態が明らかになる
- 人的リソースがどのように使われているか明らかになる
- 生産性の低い業務が明らかになる
- 活動と原価の関係性が明らかになる
- 付加価値を生まないコストが明らかになる
デメリット
- 活動の洗い出し・分析に労力がかかる
- 導入に時間がかかる
- 正確性を求めると計算が複雑になる